Diary

正解


以前にも書いた事がありますが、2014年にスウェーデンに研修に出かけた際、スウェーデン在住のK先生が「答えは一つではない。場合によっては正解はない」とおっしゃっていました。多様性が求められる今では当たり前の事ですが、それこそ子どもたちの生活(遊び)そのものであることに気付かされます。子どもたいは何度も失敗や発見を繰り返し、自分なりに納得する事や時が正解であり、小学校以降の勉強のような答えがある問いとは異なるのだと思います。そんな中で過ごしてきた、5歳児のぞみ組・めぐみ組の子どもたちは4月から小学生となり教科書を使った勉強が始まると、保育所生活とは違うたった一つの正解を求められる事が増えることでしょう。
 保育終了日だった今日、在園児はもとより、卒園児たちまでが新たな道を選んだ僕に感謝を伝えに来てくれました。旧園舎時代を含め、子どもたち・保護者の皆さん、先生(職員)たちに支えられ園長として16年歩ませていただきましたが、肩書きこそ「園長」でしたが、1・2年目、また、震災後、公立保育所と合併し現在の保育園での保育が始まった時もどこからどう見てもそんな肩書きとはかけ離れ、子どもたちも保護者も職員も不安でしかなかったことと思います。もちろん、今でも「園長」として相応しいかと言えば否であり、模範の対象として失格だったかと思いますが、子どもたちと最前線で関わってくれている先生たちのお陰で多くの方々が保育園のために協力くださり、唯一無二の園庭ができるなど子どもたちの楽園が形成されて来ました。その中で育ったからこそでしょう、4月から小学校3年生になるK君が届けにきてくれた手紙には、将来、第一光の子保育園の園長先生になりたいと書かれているのです。また、4月から高校一年生になるY君がお母さん、妹のRちゃんと一緒に挨拶に来てくれて、プレゼントしてくれキーホルダーの絵はY君が在園中に職員室のホワイトボード(行事予定表)に描いた落書きであることが直ぐにわかりました。それはなぜか・・・。なぜだかその落書きだけは消すことが出来ずに今でも残してあったからなのです。大々的なセレモニーなどが大の苦手な僕はこっそりフェードアウトしたいのが本音ですが、高校生になる卒園児までが会いに来てくれたことの嬉しさ、喜びは保育者冥利に尽きます。その他にもたくさんのメッセージやお花を頂戴しました。心から感謝いたします。以下に卒業式でよく歌われる日本のロックバンドの曲の歌詞を紹介します。保育園の子どもたちにはまだまだ難しい内容ですが、「答えがある問いばかりを教わってきたよ。だけど明日からは僕だけの正解をいざ、探しにゆくんだ、また逢う日まで。」そんな子どもたちであることを願います。

「正解」
この先に出会うどんな友とも、分かち合えない秘密を共にした。
それなのにたったひと言の「ごめんね」だけ、やけに遠くて言えなかったり。
明日も会うのになぜか僕らは、眠い眼こすり、夜通しバカ話。
明くる日、案の定、机並べて居眠りして、怒られてるのに笑えてきて。
理屈に合わないことを、どれだけやれるかが青春だとでも、どこかで僕ら思っていたのかな。
あぁ 答えがある問いばかりを教わってきたよ。そのせいだろうか、僕たちが知りたかったのは、いつも正解などまだ銀河にもない。一番大切な君と仲直りの仕方、大好きなあの子の心の振り向かせ方、なに一つ見えない僕らの未来だから、答えがすでにある、問いなんかに用などはない。
これまで出逢ったどんな友とも違う君に見つけてもらった、自分をはじめて好きになれたの、分かるはずない。君に分かるはずもないでしょう。
並んで歩けど、どこかで追い続けていた、君の背中、明日からはもうそこにはない。
あぁ 答えがある問いばかりを教わってきたよ。そのせいだろうか、僕たちが知りたかったのはいつも正解など大人も知らない、喜びが溢れて止まらない、夜の眠り方、悔しさで滲んだ心の傷の治し方、傷ついた友の励まし方。あなたとはじめて怒鳴り合った日、あとで聞いたよ。君は笑っていたと想いの伝え方がわからない、僕の心、君は無理矢理こじ開けたの。
あぁ 答えがある問いばかりを教わってきたよ。だけど明日からは僕だけの正解をいざ、探しにゆくんだ、また逢う日まで。
次の空欄に当てはまる言葉を書き入れなさい。ここでの最後の問い。
「君のいない 明日からの日々を、僕は/私は きっと □□□□□□□□□□□□□□□□□」
制限時間はあなたのこれからの人生。解答用紙はあなたのこれからの人生。答え合わせの時に私はもういない。だから、採点基準はあなたのこれからの人生「よーい、はじめ」
2023年03月24日(金) No.3512 (園長日記)

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