Diary

プロセスが大切なのに・・・


大河原駅から保育園に向かう道の途中で最近、家の新築工事が行われています。数週間前まで更地だったところが数日前に重機で穴が掘られ、そうかと思ったらあっという間にコンクリートの基礎が出来上がり、昨日の朝にはトラックで木材が運ばれ夕方には柱が立ち、今日には屋根の部分が作られているのです。ということは、この調子ですとあっという間に家が完成することでしょう。しかし、奈良の東大寺を始め、日本各地に残る歴史的建造物である城や神社仏閣が完成するには、驚くほどたくさんの人々が何年もかけて建造したと聞きます。ところが、現代家屋の場合は工場にて材料の柱などが機械にて加工され(プレカット工法が施され)現場ではまるでプラモデルを組み立てるかのように材料が組まれるという作業となり、鑿(のみ)や鉋(かんな)で柱を加工することなどほとんどなくなり、また、釘を打つ金槌もタッカーという便利な道具に変わるなど、大工さんの仕事も様変わりしてしまっています。しかし、古民家などの日本家屋は驚くように曲がった木が柱や梁となり家を支えています。そんな柱を加工したのは機械ではなく人間(大工さん)の技術であり、大切なプロセスがあり、職人の経験と知恵がありました。子どもを育てることも建物の建築と同じで本来はじっくりと時間をかけることが重要です。ところが、近年は目に見えることが成長の全てであるかのように勘違いされ、物事の重要な部分であるプロセスがないまま成果や結果だけで子どもの育ちを判断する傾向になってしまっているような気がしてなりません。人間の成長には間違ったり失敗したりするといったプロセスが次の成長に必要なのです。電子レンジのスイッチを押し温めるだけの食事では料理で大切なプロセスが全くありません。そんな意味からも、明日5歳児の子どもたちがお泊まり保育に向けて薪と羽釜を使いかまどでご飯を炊いてみます。もしかすると火加減や水加減を間違え、焦げたり柔らかすぎたりすることもあるかと思いますが、それこそが子どもたち(人間)の成長にとって大切なこと!そう考えればどんな結果だとしても間違いなく成長の糧となることは言うまでもありません。
2015年06月24日(水) No.1581 (園長日記)

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