Diary

2年越しに成就


東日本大震災による津波、そして原発事故、その原発事故により福島県内の多くの幼稚園・保育園では放射能被害の影響で、別な場所で保育をせざるを得なくなったり、これまで当たり前に行ってきた保育に沢山の制約がなされたり、中には未だに元の場所で保育することさえできない、戻ることすら不可能という地域があります。そんな福島県南相馬市で、様々な困難と闘いながら保育をし続けている、原町聖愛保育園の5歳児の子どもたち18名と卒園児の小学生11名が園長先生を含めた3名の先生達と今日大型バスで保育園に遊びに来てくれました。二年前のあの地震で、大河原でも断水や停電などはあったものの、幸いなことに別な場所で保育を強いられることなく現在に至っています。そんな地域で保育をすることができている僕等にできることは、日々放射能の影響を気にして過ごしている子どもたちが、僅かな時間だけでも放射線量を気にすることなく、安心して遊ぶことが出来る環境を提供してあげることぐらいしかないと思い続け、我が園に来てもらえるように願い、誘い続けていました。その願いが、今日2年越しで成就したのです。同じキリスト教保育連盟に加盟していても子どもたちが交流することは殆どなく、しかも、県外の園の子どもたちとの交流となればなおさらということになります。ところが、今日の子どもたちの姿や表情を見ていて感じたことは、初めて会ったとは思えないほど自然に友達を受け入れ、自分たちの保育園のことを何でも伝えたい、自慢したいという思いから一生懸命で、今まで山登りをしたことのない子どもたちまでが、道案内を兼ねて急な山(崖)を登り、登ったはいいものの、いざ降りようとなった時に自分の立っている高さや急な斜面に気付いて怖くなり泣き出す子がいたほどです。その後は園庭で砂遊びをしたり、ランチルームで食事をしたり貴重な時間を過ごせました。場の提供を提案しておきながら、心のどこかでは数年間砂遊びをしていない子どもたちが、どの様な反応を見せるか不安なところがありましたが、誰一人として不安や抵抗を持つことなく素晴らしい笑顔で遊んでいる子どもたちの表情を見て来てもらって良かった、場を提供することだけでこんなに喜んでもらえるならこれからもずっと続けていこうと思いました。そして、子どもたちの笑顔をそれ以上の笑顔で見ている先生方の表情を拝見し、これまで2年間、我々の想像もつかない苦労をして来たからこその表情なのだろうと思わされグッと来るものがありました。あの子どもたちは今日帰宅して家族とどんな会話をするでしょうか。楽しかったことを伝える子どもたちの表情を見てご家族の皆さんにも笑顔が広がることを祈ります。そして、今後は、保育園のバスも有効利用し末永い交流を続けたいと思います。
2013年04月20日(土) No.991 (園長日記)

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