Diary
締めの○○
その由来や起源は分かりませんが、日本独特の風習の一つに、式典やパーティーなど物事が無事に終わったことを祝って、掛け声とともにリズムを合わせて打つ手拍子「手締め」があります。食に目を転ずれば、すき焼きの締めは、ご飯やうどんを入れたりします。しばらくご無沙汰していますが、ふぐ鍋の締めといえば定番の「雑炊」ということになり、また、この時季のお決まりである忘年会に限らず、お酒の締めといえば「ラーメン」となるのでしょう。
さて、僕の「締め」は…。と言っても、今年最後の「本」なのですが、それは、東日本大震災直後から救援、救助に携わった警察官の声を綴った「ふくしまに生きる ふくしまを守る」という本です。震災から一年九ヶ月が過ぎましたが、この本を読んでいると、あの日、あの時のことが鮮明に蘇ります。それは、家族を投げ打ってまで警察官の任務を全うしようとする使命感、故郷「福島」を守ろうとする責任感が“生の声”である、「手記」という形で書かれているからだと思います。
思い返せばあの日、全てのライフラインが寸断し帰宅出来ない、そして、余震が続くうえ、しっかりとした情報が入らないこともあり心配で帰宅したくない一人暮らしの職員は寒く暗い避難所に一泊しました。翌日の午後、理事長のご配慮で何とか帰宅できたものの、その後、原発事故で放射線量が高かったであろう事も知らず、時には吹雪いて寒い中を自転車で通勤したのですから、精神的に極度に張り詰めた状態だったのだと思います。しかも、当園の名物になりつつあるC先生までもが、往復54kmを数回ママチャリで出勤する日があったのですから、その精神力と責任感に改めて驚くとともに感謝です。
さて、この一年、保育に関わる本はもとより、推理小説、日本の歴史に影響を与えた偉人の本など、様々なジャンルの本を読みましたが、今年の締めの本「ふくしまに生きる ふくしまを守る」は、時間を巻き戻し、色々なことを思い返させる力があると思います。そのお陰で「締めの本」と言いながら、あっと言う間に読み終えてしまいそうなので、結局は別な本が締めの本となりそうです。もし、どなたか、お勧めの本があればご紹介ください。今日も何とも「締め」がしっかりしない日記になってしまったことをお許し下さい。
2012年12月19日(水)
No.892
(園長日記)
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