Diary

プロ魂と苦渋の決断!?


出張や研修で出掛けている際、僕は必ず保育園にその日何か起きなかったか確認の電話を入れますが、特別なことがない限り保育園から連絡が入ることはありません。ましてや県外に出掛けていてすぐに帰ることが出来ないとなれば尚のことです。もし、連絡が入ったとすれば、それは裏を返せば何か特別なことが起きたということに他なりません。その、特別なことが今日発生したのです。朝から研修だったため、携帯電話は鞄の中に放り込んだままでしたが、12時になり昼食を食べる時、鞄の中の携帯電話に目をやると、どこからか着信しているのです。さて、どこからかと思い確かめて見ると、事務のkさんからで、メッセージが入っていたのです。内容はといえば、子ども達が遊べるようにと、以前僕が園庭に縦に埋めた土管に入ったR君が出られなくなり、つい数日前、署長を務めさせていただいた消防署から、赤い車に乗ったオレンジ色の服を着た隊員と、白に赤のライン等が入った車に乗った白色系の服を着た隊員が救助のために来てくださったと言うのです。そのメッセージを聞き、すぐさま保育園に電話を入れ、状況確認をしたところ、怪我なく救出されたというので胸をなで下ろしました。とは言えど、R君が出られなくなってしまった原因を作ったのは僕。最初から子ども達が出入り出来ないように不思議な花壇としておけば良かったことであり、全く持って弁解の余地のないミス、僕の責任です。言い訳にになってしまうかも知れませんが、僕は土管から出られなくなってしまったものの、これまで取り組むことすらなかったR君が「ぼくも、みんなのようにやってみたい」と考え、誰に指示される訳でなく土管に入ったことは大きな成長であることは間違いないと思います。勿論、本当ならば緊急車両が保育園に来ることなんて好ましくありません。ですから、119番に通報する判断をする際、つい数日前署長として園の避難訓練を視察した僕の顔やR君の保護者の顔が思い浮かび、担任や主任のC先生、事務のKさんはとても悩み、苦渋の決断として119番へ要請を依頼したのだと思います。
 実は、今日の研修の中で、「保育におけるプロ魂とは何か」という質問が講師の先生から投げかけられました。その答えは、「どんな時でも子どもと保護者の最前の利益を守る」という強い信念。子どもの育つ力、保護者の子育て力、地域や社会の子育て力をエンパワメント(力を引き出す、元気にする)、すなわち「育つ力と育てる力をはぐくむ支援」に最大の力を発揮することと語っていました。ということは、今日、R君のことを考え119番通報をしたというのはプロとしての判断だったと思います。そして、「プロ魂」は保育に限ったことでなく、どんな業種でも対象者を変えれば良いというのです。「餅は餅屋」という諺があるように、今日のような場合は真っ先に119番通報すべきですし、隊員の方々は正にその道のプロですから、苦渋の決断がベストな決断だったと思います。出張から帰ったら、早速土管を埋め直し、早速花壇に変身させようと思います。そして、R君とご家族にお詫びをするとともに、その成長を褒めてあげたいと思います。そうそう、消防署へのお礼も忘れずにしなければ…。
2012年11月15日(木) No.861 (園長日記)

No. PASS