Diary

生きる喜びや生きていくために必要な基礎とは?


5歳児は2ヶ月後には否応無しに小学校一年生となります。すると、これまで保育園で最高学年として過ごしてきたというのに、小学校に入学した途端、最小学年となり子ども扱いされるようになります。家庭でも保育園でもこれまで知らず知らずのうちにお兄さんお姉さん扱いされていたこともあったかと思います。特に弟妹がいる子どもたちは、お父さん、お母さんに甘えたくても遠慮してしまい我慢していることもあるでしょう。お昼前のことです、めぐみ組の子どもたちが担任のN先生と一緒に園庭の片付けをしている時のことです。何が原因か、何が起こったのか、めぐみ組のCちゃんが急に「園長先生、おんぶして」というのです。そこで特別理由を聞くこともなく「いいよ!」と言ってCちゃんに背中を向けると背中に飛び付いてきます。そんなCちゃんおんぶして歩いていると、「何してるの?」「いいなあ!」「ずるい!」「ぼくも・わたしもしたい」という子どもたちが続出。そんな子どもたちの願いを叶えるべく、短い距離ですが交代交代に負ぶってあげたのですが、その時に気づいたことがあります。それはおんぶをねだってきた子どもたちのほとんどが兄・姉だったことです。もちろん、その子どもたちが家庭で甘えられていないということではなく、他の年齢の子どもたちが保育室へ戻った後で、誰もいなかったから恥ずかしがることなく、そんなリクエストをしてくれたのでしょう。このおんぶがきっかけとなり、片付けの最中にも関わらず、今度は子どもたち同士で「わたしおんぶできるよ」「ほらね」などと言いながら女の子が男の子をおんぶすることも含め楽しそうに遊び始めました。これも長い間一緒に過ごしてきた仲間だからこその姿かと思いますが、残園ながら、年齢的にも、生活時間の変化からこのように男の子女の子が恥ずかしがることなく遊ぶことは小学校に入学すると少なくなることでしょう。そんな意味からも残り少ない保育園生活期間はこれまでと変わることなく過ごして欲しいと思います。
 さて、夕方の外遊びが始まる頃、金ヶ瀬の畑に軽トラックを2台駐車することができるようにするため、畑の先生Yさんと遺書に園庭の片隅に山積みにしてある木製パレットの補強をしていました。すると、興味を持った子どもたちが「園長先生、この人だあれ?」「何してるの」と集まってきました。何をしているか伝えても現場を離れず作業を見守ってくれる子どもたちがいたので、金槌を手渡し、釘打ち作業をしてもらったところ、「なんだか怖いなあ」とか「結構難しい」と言いながらもそれはそれは嬉しそうに釘を打ち付け満足そうな表情を見せてくれました。このような子どもたちの表情、姿から、使い方によって人を殺めることができる凶器となること、使い方を知っていれば必要で便利な道具であること、暖炉の上ではめぐみ組の子どもたちが畑で収穫した大根を使って美味しそうな煮物が作られていましたが、火も熱くて怖いけれど暖かさを提供してくれる、美味しいものを作ることができる必要不可欠なものであることを知っていることでしょう。そんなことからも改めて安全とは危険から遠ざけることではなく、危険を知ることだと思った次第です。何はともあれ、早い遅いに個人差はあれど、乳児期からの経験の積み重ねが、いつか実を結び、花を咲かせる。木登りも柱登りもブランコも何度となく失敗を繰り返しできるようになる。そんな子どもたちの育ちを信じ、待ち、願い、祈りながら日々保育をしなければ・・・。
2023年02月08日(水) No.3480 (園長日記)

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