Diary

人間よりも・・・。


朝、西側玄関の掃除(消毒)をしていると園庭から僕のところへ走って来た5歳児めぐみ組のHちゃんが首をかしげながら「ねえ、園長先生ちょっと来て!お庭でカラスさんがこんな風になって転んでるの!」そう報告に来ました。そこで、鳥インフルエンザに感染しているなどしたら大変なので「わかった。じゃあ片付けしてから行くから、カラスに触ったりしないで待ってて!」と伝え様子を見に行くと確かに迷路のような丸太の遊具の隅でじっとしているカラスを子どもたちが取り囲んで眺めています。そのカラスの大きさを見て、巣立ったばかりで上手に飛ぶことができず園庭に落ちた(着地)してしまったことが想像できました。しかし、目の前でカラスを見る経験など滅多にない子どもたちはその場をなかかな離れようとしないのです。ところが幸いなことに降ったり止んだりしていた雨が強まり、クローバーをかき分けカエル探しをしていた子どもたちも先生たちも一旦園庭から姿がなくなり、ゴミ拾いと鍬での草刈り(雑草抜き)をする僕だけになりました。そこで、鍬を手にカラスを救出すべく様子を見に行ってみると、子どもとはいえ沢山の人間の姿に心配しながら子カラスを見守っていたと思われる母カラスが近くのフェンスに止まって体を震わせながら威嚇するような声で鳴くのです。そんな母カラスに襲撃されることを覚悟しながら子カラスを鍬ですくい上げ、フェンスの近くに放してあげました。すると、それまでじっとしていたカラスが心配して鳴く母親の声の方へピョンピョン跳ねて行く姿を見届け、その後、改めて様子を見に行くと既に子カラスの姿も母カラスの姿もなかったことから、園庭からは何とか無事に脱出することができたのだろうと思うと共に、どうか上手に飛ぶことができるようになり、今度は空から子どもたちの姿を見に来てくれることを祈りました。こんな風にカラスが一生懸命に子育てをしているのに、人間社会を見ると少子化、子どもの貧困、そして、児童虐待など子どもたちに関する痛ましい事件事故が後を絶たないことに胸が痛みます。
 そのような問題を解決すべく、子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」が来年4月に設置されることが一昨日の15日に参院本会議で可決、成立しました。様々な情報によると「こども家庭庁」の中は「企画立案・総合調整部門」「成育部門」「支援部門」の3つの部門に分かれ、この3部門で、これまで内閣府、厚生労働省、文部科学省など、いくつもの組織の隙間にこぼれ落ちていた子どもに関する施策をカバーするそうです。子育て支援や子どもの貧困対策、児童虐待防止、少子化対策といった幅広い分野を受け持つ一方、未就学児童が通う施設は、幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省、認定こども園は内閣府が所管することになり「幼保一元化」は見送られることになりました。それが既得権益のための縦割り行政でなく、子どもたちの未来のための政策であることを切に願います。



2022年06月17日(金) No.3324 (園長日記)

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