Diary

ヨセフの葛藤と僕の葛藤


「園長先生おはよう」園庭で掃除をしていても、園舎内の消毒をしていても僕の姿を見つけると、必ず大きな声であいさつをしてくれる5歳児めぐみ組のS君。今朝玄関の自動ドアの拭き掃除をしているときに登園してきたのですが、いつものような元気がなく、マスクをしていても明らかに何かがあった(ある)ことが分かる表情(目が)だったので「S君おはよう!何か元気がないけどどうしたの?」と声を掛けました。その途端、涙を流しながら「あの、〇×♯■♭$%」と聞き取ることができない言葉で何かを話し始めました。そこで、「ゆっくりでいいから泣かないで話してみて」と再度声を掛けてみました。しかし、またしても「〇×♯■♭$%だから・・・!」言う返事が返ってくるので、お母さんに「どうかしましたか?」と尋ねてみると「ページェントの台詞が上手く言えない(忘れてしまう)ことを気にして、保育園が近付いてきたらだんだん不安になったみたいなんです」というのです。普段明るく元気なS君ですが、ページェントでヨセフ役をするとき、『マリア』と言うか、『マリアさん』と言うべきかで頭が混乱してしまったようでどうしたらいいか分からなくなってしまったようなのです。聖書(マタイによる福音書1章18節以降)にイエス様の誕生の場面が描かれていますが、その中で結婚の約束をしているマリアが身ごもったことを知り、夫となるヨセフがマリアと縁を切ろうと決心したこと、そう考えていること(葛藤)が短いセンテンスで表されています。そんなヨセフの葛藤とS君の悩みが重なり、まさにヨセフ役にピッタリに思えてなりませんでした。涙の訳がわかったのでS君には「間違ったっていいんだよ!自分で言いやすいように話せばいいんだから!」と声をかけると、多少は安心してくれたのか、保育室へ向かっていきました。そして礼拝後、僕がパイプ椅子の片づけをしているとき朝泣いていたことが信じられない笑顔のS君が大きな声でヨセフの台詞を言いながらホールへやって来たのです。担任のM先生もその様子を見ていて「ちゃんと覚えているんですけど、結構緊張しいなんですよね」と笑っていました。そんなS君を抱きしめながら「間違ったっていいんだよ。間違ったらやり直せばいいんだから」と改めて声を掛け、励ましてあげました。生を受けてたった5〜6年の子どもたちが聖書に書かれたイエス・キリストの誕生の話しを覚え、演ずることそのことだけでも素晴らしいこと、尊いこと、上手下手などないことを子どもたちに伝えたいそう思わされる朝の出来事でした。 
さて、そんなS君の葛藤と比べものにならない僕の葛藤、それは、子どもたちが大好きなペダルカーのハンドルのシャフトが壊れてしまったことです。以前も同じようなことがあり修理したことがあるので、溶接した部分が壊れたことは明らかなのですが、今回直るかどうか・・・。子どもたちは乱暴に使っているつもりはないのでしょうが、ハンドルやペダル、チェーンやシートなどの部分(部品)はどうしても負担がかかってしまので思わぬ故障・破損に繋がってしまいます。それでも何度も修理を重ね大切に使ってきたこともあるので、夕方、これまでも何度となく修理してくださっている自動車屋さんに依頼をしたところ、「OK!じゃあ夜に取りに行くから!」との返事が・・・。果たして結果は・・・。素敵なクリスマスプレゼントとなり直って戻ってきてくれることを願うものです。
2021年12月06日(月) No.3196 (園長日記)

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