Diary

卒園が近づくと・・・。


園舎北側で薪を作っていると、2階ホールから5歳児の子どもたちの歌声が聞こえてきました。つい少し前まで園庭で避難訓練をしていたのですが、明日の保育園生活最後の保育参観で予定されているコンサートで披露する曲のリハーサルをしていたようなのです。外まで聞こえてきた曲の多くが、卒園、就学が近付くと全国の幼児施設で歌われている耳慣れたメロディーと歌詞ばかり。明日お見えになる保護者の皆さんも、これまではそんな曲が聞こえてきても特別感傷的になることがなかったとしても、いざ自分の子どもが卒園を迎え、最後の保育参観で歌う子どもたちの姿や声を聞くと急に現実的になり、これまでと違った聞こえ方、違う曲に聞こえるかも知れません。一方、担任2人は明日の保育参観後、一気に卒園式に向けてシフトチェンジをして日々過ごすことになりますが、気がつけばあっという間に卒園式ということになるでしょう。そして、そんな卒園式と並行して、来年度入所することが決まったご家庭に昨日内定通知が届けられたこともあり、これから卒園式と同時進行で新入園児の受け入れの準備も行われますが、どちらも丁寧に準備していかなければと思っています。
 さて、話は一転しますが、十数年前まで幼稚園教諭として子どもたちと過ごしていた時のことです。5歳児の担任をまかせてもらい、卒園を迎えようとする時期になると決まって読み聞かせをしていた本があります。その本は、日本の「戦後最大のベストセラー」と言われている、黒柳徹子著の「窓際のトットちゃん」です。なぜこの本を読み聞かせしたかと言えば、時代は違っても小学校も楽しいところと思って安心して卒園してもらえる様にとの願いがあったこと、また、戦争や差別、障がいを持ったクラスメイト、楽しい出来事、払い下げになった電車が教室、悲しい別れ、そしてなんと言っても子どもたちの幸せを本当に考えている校長先生のことを伝えたいと思ったからでした。40年も前の1981年(昭和56年)3月6日に発行された本ですが、何度読んでも新しい気付きや忘れてはいけないことがたくさん書かれていることもあり、僕にとっては今でも保育の最高のテキストです。僕はどう頑張っても本に書かれている校長先生にようにはなれそうにありませんが、園庭にあの車掌車があるのは、この「窓際のトットちゃん」に書かれている電車の教室に影響(憧れている)されている証なのです。
2021年01月21日(木) No.2973 (園長日記)

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