Diary


東日本大震災から丸9年。地震発生時刻の午後2時26分を過ぎた2時58分ころ、名取市の震災メモリアル公園上空に大きな虹がかかったという。しかし、今朝7時、強風が吹く中でもほぼ定刻で大河原駅に到着した電車の車窓から蔵王の麓に不完全ですぐに消えてなくなりそうな色の薄いの虹が出ていることにどれくらいの方々が気づいたでしょう。その虹を見たとき、9年前の震災によって犠牲になった方々の何かが虹を出してくれたように思えてなりませんでした。保育園では今年も、東日本大震災を忘れることがないようにとの思いから防災訓練が行われ、発災時刻2時46分、大河原町役場から町全体に響いた1分間のサイレンに合わせ園庭やバルコニーに避難した子どもたちと先生たちが目を閉じ祈りを合わせました。サイレンが鳴り止み目を開けた後、4歳児あい組・はと組の子どもたちに「今の『ウ〜』っていう音、長かった?短かった?」と尋ねると「長かった」という返事が返ってきました。そこで、あの日の地震はそのサイレンが3回鳴っても続いたことを伝えたところビックリしていました。一方、震災の2日前の9日に起きた大きな地震のことはほとんどの先生の記憶になく思い出せません。しかし、0歳児ひかり組のM先生だけは給食の時間帯に起きたこと、その日のメニューがカレーだったというのです。そこで、9年前のHPを開いてみたところ、そこには給食のメニューまでは記録されていないもののお昼に地震が発生したことなどが記され、また拙い文章ではありますが発災当日以降の様子も残されていました。これも自宅の停電が市内でもいち早く翌日に解消されたということが記録を可能にしたのですが、時系列で記憶を辿ることができる貴重なものになりました。現在、こうして日記を書いているのは記録の大切さを震災で気付かされたからです。それでも「もうやめようと」思ったことは何度もあります。しかし、記録を頼ることなく数年前の記憶をたどることなど不可能なことであることを忘れることなく、可能な限り、書くことを続けてみようと思います。
 さて、3月14日(土)に全線再開する常磐線の大きなポスターが仙台駅に飾られています。あの日から9年も掛かってようやく再開しますが、涙を流して喜んでいる方と故郷を奪われ怒りや悲しみに涙している方がいるはずです。そんな意味からも3月11日だけでなく被災者・被災地のことを忘れることがないようにしなければならないことを再確認しました。
 そうそう、涙といえば給食の時間、食前の祈りの前に歌を歌っているとき、5歳児のぞみ組のK君が仲良しの友達や担任のN先生とお別れするのが寂しくなったようで涙を流して泣き出しました。この姿にN先生は最初クスクス笑っていたのですが、その泣き方が嘘偽りでなく心の現れであることが伝わり、N先生までが涙を流して泣き出しました。卒園式当日はK君以外の子どもたちも保護者の方々も先生たちも子どもたちの成長を喜び合い涙を流すような素晴らしい卒園式になるよう、明日の最後のリハーサルを行おうと思います。
2020年03月11日(水) No.2757 (園長日記)

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