Diary

たっての願い!


5歳児のぞみ組のH君、何がきっかけだったのかここ数日、自分の身長より高くタイヤを積み重ねることにこだわりを持ち、連日のように遊んでいます。ところが、クラスでの集まりで保育室へ戻らなければならなかったり、ちょっと目を離した隙に頑張って積み重ねたタイヤがものの見事に崩されてしまうことに納得がいかず、「園長先生、せっかく僕がつくった(重ねたの意)タイヤがいつも壊される!どうして?」と、涙ながらに訴えてきます。そこで、「じゃあ、僕が作ったんだからやめて!って言ってみるといいよ」と伝えたのですが「でも、気が付くと壊れていて、誰が壊したか分からないからお話しできない!」と悔しさを表します。確かに、H君が背伸びをしながら全身を使って必死で積み上げたタイヤは、無残にも失敗しただるま落としのようにバラバラに崩れ落ち見る影もありません。それが連日続くのですから納得がいかず涙に繋がってしまいます。そして今朝も「園長先生僕のタイヤまた崩されている!どうして?壊されないようにテープで留めて」と言うのです。しかし、セロハンテープやビニールテープ、ガムテープなど、園にあるどのテープを使っても落ちないように固定することなど不可能なのは明らか!そこで、H君の思い(気持ち)をどうすればみんなに伝えることが出来るか考え、不要になった紙の裏に「こわさないでね」というメッセージを書いて、今日もめげることなく積み重ねたタイヤに貼ることにしました。そこで、職員室で「『わ』ってどうやって書くの?」などと会話しながら作ったメッセージを貼ってみたところ、多くの子どもたちが「何貼ってるの?」「どうしたの?」と駆け寄って来て字を読める5歳児を中心にメッセージの解読が始まりました。ところが、一枚だけのメッセージでは、一方からは見えるものの反対側からは見えないことに子どもたちが気付き「こっちから来ると見えないよ」と教えてくれるのです。すると、今度はH君の思いに賛同した、めぐみ組のMちゃんが「わたしも書いてあげる」と言ってメッセージを書いてくれることになりました。そこで、再度職員室へ戻り、裏紙にメッセージを書くことに・・・。すると、Mちゃんが書いてくれたひらがなをよ〜く見てみると「こわさないれね」となっているのです。ひらがなの読み書きがじょうずなMちゃんでも耳から覚えた言葉を書くと「で」ではなく「れ」になってしまうということが可笑しくて心の中で微笑みながらもメッセージを持って外へ出て、タイヤに貼ったのですが、Mちゃんは「じょうずに書けた!みんな読めるかなあ?」とニコニコ大喜び。そのお陰もあり今日は一日誰にも倒されることなく、立ち続けていました。とは言えH君以外の子どもたちもタイヤを使いたいという思いもあるでしょう。一日だけでもたっての願いを叶えてもらったH君、きっと満足してくれたでしょうから、明日は「ほかの皆にも貸してあげようね?!」と声をかけてみたいと思います。こんな風にたった一人の思いに共感し過ごしてくれる多くの子どもたち、それを見守ってくれる先生たちに感謝します。今年もみんなに素敵なクリスマスがやってくることでしょう!!!
2019年12月03日(火) No.2690 (園長日記)

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