Diary

夢中に


梅雨らしく雨が降って寒い日があるかと思うと、そんな天気がずっと続くことなく晴れて暖かい日もやってくることもあり、園庭の畑ではマルチシートが張られていない部分に次々に雑草が生え始めています。そんな草たちを気にしてくれていた今日の朝番だったS組のT先生がビニール手袋を付け、4歳児A組のR君やT君など数人の子どもたちと一緒に草むしりを始めてくれています。しかし、子どもたちの力では野菜以上に丈夫な根を張っている草はなかなか抜けません。そこで草むしりには必須と思われる道具をT先生に使って作業をしてもらい、僕はいつものように放射線量の計測をしながら様子を見ていました。すると、昨日降った雨が畑を囲んでいる丸太の空いていた穴(くぼみ)にたまっていたようで、そこへ草むしりをした時に根っこに付いていた土が入り、何やら楽しいことを始められそうになっていることに気づいたのか、R君が草むしりを止め、丸太の方に向きを変えてしゃがみ込み夢中になって泥遊びを始めました。その楽しそうな様子に僕が釘付けとなってしまいずっと様子を見ていました。それだけでは飽き足らず、線量の計測を終えた後、R君たちのところへ様子を見に行ってみました。すると、穴に次々と土を入れたため、土が固まってそれまでのニュルニュル感がなくなってきます。そこで、一緒に遊んでいたT君に「ねえ、T君お水持ってきたら?」と声をかけてみると「うん!そうだね」と言って水道の方へ走っていきます。しかしジョウロやバケツなどの道具を持っていかないのでどうするのかと思っていると、口いっぱいに水を入れほっぺたを膨らませたT君が帰ってきたかと思うと、R君がこねている泥の辺りへ、ぴゅーっと水を吐き出します。大人であればそんなことをした(された)ものなら、大変なことになるでしょうが、R君はT君に「どうも」とお礼を言って「ニュルニュルで気持ちいい」と言いながら泥をこね続けているのです。しかも、T君が口を使って水を運ぶ姿はそれだけでなく、その後も何度も続きました。そのお陰か、このチョコレレート工場(チョコレート作り)はしばらく続き、それに気づいたA組のS君など次々に仲間が増え遊びが発展していました。あまりにも楽しそうだった子どもたちの様子に夢中になった僕は10分以上様子を録画しましたが、泥の感触や自分の気持ちをしっかりと言葉で表現できるようになっていることなどから、4歳児ならではの育ちをプロセスを実感することができました。そして、「泥遊び」と言っても、実際は「チョコレート作り」だったり「う◯ちみたい」だったり「田植えみたい」だったりするのが保育現場の実態であり、子どもたち遊びのほとんどは「◯◯遊び」と単純に名前をつけることができないものであることを再認識しました。
2019年06月20日(木) No.2577 (園長日記)

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