Diary
90歳の保育士
今朝のNHKニュース「おはよう日本」でとても興味深い話題が取り上げられていました。それは、栃木県の保育所にお勤めになっている主任保育士のこと。お名前は大川繁子さん、今なお現役で現場に立ち続けている昭和2年生まれの90歳です。大川さんが今もなお現場に立ち続けるのは、戦時中に自分が受けた教育を2度と繰り返したくないという思いがあるからだというのです。
大川さんが尋常小学校に通い始めた昭和8年は教科書が軍国主義的な内容に変わった時期で、子どもたちが書いた学校の文集は戦争を賛美する内容であふれていたそうです。そんな大川さんが終戦後、23歳で保育士として働き始めたとき、伸び伸びと遊ぶ子どもたちを見て、自分が受けた教育が偏っていたことに初めて気づきました。そして、過去の経験をふり返り「自由に生きる力を育てたい」と子どもたちの自主性を尊重する保育を目指しました。そのため保育内容にプログラムはあえて用意することなく外遊びや読書など保育士の指示に従うのではなく、子どもたちは自由にやりたいことを選びます。給食も同様で自分の体調に合わせ、食べきれる量を考えてもらいたいとバイキング方式。こうした教育(保育)が自分で考え行動できる基礎になると考えておられましたが「一番言いたいのは、教育ほど恐ろしいものはないということです。自分で考えて自分のやりたいことをやるということが大切。上から言われないで。だから、みんなそれぞれ力がついていくのです」とおっしゃっていました。また、自分で考えて、自分で判断すること、自由に生きる力と責任を幼い時から育てていくことをなさっていました。戦争を知らない世代が増え、その恐ろしさや愚かさを伝える方々が少なくなっていく一方の現代、90歳で現役の主任保育士の大川さんに育てられる子どもたちは平和と幸せを願い育っていくことでしょう。「上から言われないで」の「上」というのは、当時は「国」をさしていたと思いますが、保育現場では「保育者」になるということ。保育の大先輩の言葉を肝に銘じ子どもたちと関わらないければならないことを再確認した朝の出来事でした。どうぞいつまでもお元気で活躍なさってください!!!
2018年08月31日(金)
No.2382
(園長日記)
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