Diary

神様が作った自然界と人間が作った世界の違い!?


いつもは車を降りると凄い勢いで玄関(保育室)に向かって走っていく4歳児H組のR君、今日は気持ちが乗らなかったのか、お母さんを見送ろうとした時、転んだことが要因だったのか今朝の清々しい天気とは正反対で別れ際どうしても寂しくてフェンスの所で抱っこしてもらったまま涙ぐみ愚図っていました。そこで「R君どうしたの?お母さんとバイバイしたら絆創膏貼ろう」と、なだめすかし何とかかんとかお母さんを見送り、消毒をして絆創膏を貼ってあげました。しかし、一向に気分が戻らなそうので、しばらくの間、線量値の計測などに付き合ってもらいながら一緒に過ごし、そのあとR君の好きな虫探しをすることにしました。すると気分転換が出来たのか少しづつ笑顔が見られるようになりました。ところが、虫探しをしている様子に気づき他のクラスの子どもたちも集まってきて、ダンゴムシやミミズ、ハサミムシやクワガタと思われる幼虫やムカデが出てくるたびに大賑わい。そんな時、朝の職員礼拝の時間になり一旦職員室へ戻らなければならなくなってしまいました。ところが、子どもたちは職員室の外で虫探しの続きをしたくて礼拝が終わるのを待っているのです。そして、礼拝と連絡事項の確認が終わった時、5歳児N組のK君が慌てた様子で「園長先生ちょっと来て!あのさあ、なんだっけ、さっきのところに『メカブ』がいたよ」と報告してくれるのです。それを聞いていた複数の先生たちは一体何を言ってるのという表情になったのですが、僕はその慌てた様子に「メカブ」の正体がついさっき虫探しをしていたときに現れた「ムカデ」であることがピンときたのです。それは、「これに咬まれると痒くなったり痛かったり、腫れたりするから気をつけてね」と言っていたからです。そんな危険なムカデがまた現れたのですからどうしても僕に報告しなければと思ったということなのでしょう。この会話を聞くまで「???」という表情だった先生たちは合点がいって今度は大笑い!となったのはいうまでもありません。「ムカデ」と「メカブ」共通するのは「カ」だけというのもおかしいのですが、それよりも5歳児が「メカブ」を知っているというのがなんともおかしかったです。そんな5歳児N組の子どもたち数人に手伝ってもらい、車掌車の周りなどにここ二日間出来ずにいたヒマワリの種を蒔く手伝いをしてもらいました。指でちょうどいい大きさ・深さの穴を開け、そこに一粒づつ種を入れ優しく土をかけてくれましたが、集まりの時間になってしまったので、「私(僕)もした〜い」という大勢の子どもたちと一緒にまた明日続きをしたいと思います。
 さて、現代の生活ではよほどのことがない限り「停電」するということはありませんが、保育園は今日、電気設備の年次点検のため14時から約一時間停電となりました。予定の時間になり園全ての電源が落ち職員室ではコピー機や印刷機、照明器具や換気扇、冷蔵庫などが止まりました。その途端、電気で動いていた機器の音が一気になくなり、また、子どもたちはお昼寝の真っ最中ということもあり、まさに「静寂」という表現がぴったりの世界が訪れたのです。そのことで日々生活していると電気製品から発せられている音(ノイズ)が当たり前のこととなり、全く気にならずにいたことに気づかされました。そして、2011.3.11の震災の時もそうだったこと、また、パソコンや電話・FAX、トイレを含め、いかに電気に頼った生活をしているのかを思い知るのに十分な時間となりました。以前、HNKで「大人の発達障害」をテーマした番組を見ましたが、そこに登場した女性は、大勢の人が雑談している中でも、自分が興味のある人の会話や自分の名前など自分に必要な事柄だけを選択して聞き取ったり、見たりすることができる「カクテルパーティー効果」という脳の機能が働かない障害を持っていて、スーパーで買い物をする際、店員の声や冷蔵庫や照明器具、ありとあらゆるものの音が騒音のように聞こえてしまうため、ほんのわずかな時間しか店内にいられないというのです。今日の停電でその女性のことを思い出し、そのような方々の辛く苦しい想いや気持ちに気づけた気がします。
2018年04月26日(木) No.2300 (園長日記)

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