Diary

納得いくまで


暑い日が続くと乾燥し固まらない砂場の砂も数日前に降った雨のお陰で砂遊びにちょうどいい湿り具合になりました。不思議なことにと言うべきなのか、さすがと言うべきなのか、子どもたちはそんなことに敏感に気がつくようで、3歳児H組のW君とO君、H君が朝から砂遊びを始めました。ところが子どもたちがショベルカーやスコップを使っても硬くてどうしても歯が立たないところがあったため「ねえ、園長先生お山作るんだけど硬いから掘るの手伝って」とお願いされました。子どもたちが遊び込める環境を作るのが大人の役割なのに、それが十分でなかったことを反省することも含め「いいよ!」と返事をして早速スコップを準備し砂を柔らかくしてあげることにしました。すると、砂を柔らかくするだけでは満足いかなくなったのか子どもたちから「園長先生もっと高い山にして」とか「川作って」「水汲んで来て」「ここも掘って」と次々別なオーダーが入り、朝の礼拝・打ち合わせの後にも子どもたちの山づくりに混ぜてもらうことになりました。よほど楽しいのか研修でお休みだった担任のR先生の代わりにクラスに入ってくれたT先生が「お片付けしてお部屋でお礼拝しよう」と誘ってくれたのですが「えっ〜!?まだ遊びたい」と言う声が返って来たのです。そんな時、0・1児クラスの先生たちが外でのハープコンサートのためにテントとシートを準備していたので、コンサートが始まるまでそこを間借りし外で礼拝を守ることをT先生に提案し、子どもたちにも砂遊びを終えるのではなく礼拝の時間だけ一旦中断することを提案しました。すると、つい先ほど「えっ〜!?まだ遊びたい」と言っていた子どもたちがスコップなどをその場に置き、手を洗い、礼拝を守るため靴を脱いでシートの上に集まり(座り)リクエストが上がった歌や讃美歌を歌い、お祈りをした後、また山づくりの続きをすることができました。その結果自分たちが納得いくまで砂遊びをし満足したようで、しばらくしてからT先生が「そろそろお片付けしてロケット作りしない?」と声をかけるとすんなり「いいよ!」と返事をしてあっと言う間に片付けをして保育室へ返って行きました。保育現場ではもちろん、子育てにおいても子どもがやりたいとを納得いくまで取り組むことが大切であることを再確認することができました。
 話は変わりますが、数ヶ月前のことです。日本の最高学府T大学のA先生の名前で園の保育環境や遊びに関するアンケートの依頼が届きました。とても興味深いアンケートだったこともあり、僕には珍しく丁寧にお答えし、子どもたちが遊んでいる様子や園庭の写真を送りました。すると、午後A先生と一緒に研究をしているというS大学の先生から電話があり、我が園の園庭は「物的環境の多様性が高い」と評価されたようで、8月6日に安田講堂で開催する公開シンポジウムで写真を使わせてもらえないかという依頼でした。もちろん、お送りした写真は子どもたちが特定されるような映像はないので快諾しましたが、地方都市にある保育園であっても保育環境はもとより保育そのものが全国の保育関係者に知られるいいきっかけになることもあると思っています。一方で厳しい評価をいただくこともあるかと思いますがそれが保育の質の向上、そして結果的に子どもたちの成長につながることと思っています。大都会の保育施設の方々からすると、今の環境でも贅沢すぎるといわれることと思いますが、僕の頭の中ではまだもう少し園庭を充実させたいと思っていることがあります。今日の電話で、自分たちが進めて来ている環境構成はあながち間違っていなかったことを確認させてもらえたように思っています。だからと言って奢ることなく今後も納得いくまで環境づくりを続けて行きたいと思います。
2017年07月27日(木) No.2113 (園長日記)

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