Diary

5年目の春


今日、あの東日本大震災から5年を迎えましたが、発生時刻の午後2時46分に合わせ今年も町内にサイレンが鳴り響き、保育園でもサイレンに合わせ子どもたちが先生たちと一緒に黙祷し、お亡くなりになった方、未だ行方不明の方、被災して今も苦しみの中にある方々のためにお祈りが献げられましたが、全国各地、世界各国でも多くの方が祈ってくださっていたことでしょう。今日、主任のY先生(当時1歳児のクラス担任)と震災当日のことを話したのですが、昨年卒園したSちゃんが長く続く揺れに「もうおわり、もうおわり」と揺れが収まることを願って叫んだということ、また、1歳児S組のR君のお母さんは卒園式が延期になり礼拝と証書授与式だけといった簡素化した卒園式で僕が話した内容を連絡帳に書いてくださるなど当時を思い出す一日となりました。
 さて、東日本大震災で1200人余の命が失われた岩手県大槌(おおつち)町の海を望む高台の電話ボックスに、電話線がつながっていない黒電話とノートが置かれているそうです。その電話には会えない相手に想いを伝えるための「風の電話」という名前が付いているという。この「風の電話」のことが昨夜のNHKスペシャルで特集されていて、繋がらない電話の受話器を取り返事の返ってこない相手に話しかける方々の姿に、あの震災から5年目を迎えてもなお家族を失ったという心の傷が癒えることのない被災者が大勢いることを再認識させられ釘付けになりました。この風の電話(白い電話ボックス)は手入れの行き届いた個人の庭に設置されていて、亡くなった家族や友人ともう一度話したいという思いを抱える人たちが訪れているそうです。
 地震・津波・原発事故から5年目の春を迎えた今日も「風の電話」を訪れ話をし、家族を思い夜空を眺め、祈りを献げている人々が大勢いることとでしょう。どんなに短い人生であったとしても一人ひとり生きていた証があるのですから。
2016年03月11日(金) No.1765 (園長日記)

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