Diary

第三者評価


昨日で東日本大震災から4年11ヶ月、来月11日には5年を迎えようとしています。仙台市中心部などは次々に新しいビルが林立し、震災があったことを感じられる要素はほぼ皆無となり、それどころか賑やかさが溢れています。震災から5年間、キ保連東北部会に加盟する福島県・宮城県内で被災して今なお苦労しながら保育している幼稚園・保育所・認定こども園を訪問するお役を引き受けていながら、僕は日々の生活は何不自由なく過ごしていることもあり震災のことを思い返すことなく過ごしています。それにもかかわらず、いつもお世話になっているM学院女子大学のN先生からのご依頼を受け、本日、福岡県博多市のF女学院大学のM先生とS先生と大学院生をお迎えし、震災当時を振り返りながらこれまでの歩みや課題をお話しさせてもらいました。その中で改めて気づいたことは、時間の経過とともに記憶が薄れていくこと、被災地との距離に比例して情報に大きな差があることでした。そんな意味からも2年間伺わせていただいた高知県教育委員会からの講演依頼や心理学会での発表などの資料作りは無駄どころか、とても重要なことだったことでした。また、限られた時間内で園の保育環境等をご案内させて頂きましたが、東北と九州とでは地域や文化によって物事への考え方が違うことがあったとしても、共通していることは、子どもたちの育ちにとって重要なことは「遊び」であることでした。ところが、九州の多くの幼稚園・保育所では数年前テレビ等で取り上げられ大きな話題を呼んだ◯◯式の保育が蔓延り(はびこり)、保護者は子どもたちが自由に遊ぶことを通して様々なことを学ぶということよりも、跳び箱や逆立ちができるようになるといった目に見える結果を求めているらしく、そのような九州の保育事情を危惧しておられました。そのため私たちの保育園の子どもたちが自由にのびのびと遊ぶ姿をご覧になり「私たちの理想の保育を見つけることができました」と喜ばれていました。私たちは子どもたちが自分たちで考え工夫し自由にのびのびと(主体的に)遊ぶことは当たり前のこととの思いから多くの遊具を置くことより、自然を生かした環境構成をしていますが、そのことに気づき、しっかりと評価していただけたこと、その中で生き生きと遊んでいる子どもたちを褒めていただけたことが何よりも嬉しく、今後の保育の励みとなりました。これこそが本当の意味の第三者評価であり、今日の出会いを感謝するだけでなく、この評価を無にすることのないように、これからも情報交換をするなどして学んでいきたいと思います。
2016年02月12日(金) No.1745 (園長日記)

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