Diary

乳幼児保育の大切さ


いつもならば帰宅する電車の中か、場合によっては未だ保育園にいることもあり、なかなか見ることの出来ない19:30分から放送されている、NHKの「クローズアップ現代」。しかし、昨日は朝から風の影響で電車のダイアが乱れていたため、いつもより早く駅に向かい、遅れることなくやって来てくれた電車に乗り帰宅したため、嬉しいことに同番組を見ることが出来ました。しかも、昨日は、「愛着障害」についてというテーマということもあり、とても興味深かく画面に釘付けとなり、改めて乳幼児期の子育て・保育の大切さを思い知る時間となりました。
 みなさん記憶に新しいと思いますが、2013年6月、LINEでの口論をきっかけに、16歳の無職の少女が、元同級生を暴行、殺害し、遺体を山中に遺棄するという広島で起きた残忍な事件。この事件は、その凶悪性から、家裁の少年審判でなく成年と同じ刑事事件として扱われたそうですが、被告人の不遇な成育歴、虐待による愛着障害の影響であることを認め、幼少期の「愛着不形成」の影響が大きいことが加味され、求刑15年に対し判決は懲役13年と減刑となりました。番組の中で「母親からの虐待」「16歳とは思えぬ幼さと粗暴さ」が語られていましたが、乳幼児は恐怖や疲れや親と距離が離れたときなどに、親に近づくことにより安全感を得ようとします。イギリスの精神科医ボウルビーはその際、乳幼児に愛着のシステム(アタッチメント)が働いていると考えました。養育者(親或いはそれに代わるもの)の側はこのような乳幼児の愛着行動に対し、感受性をもってなだめる機能を発揮することが適応的であるとされています。乳幼児はこのような感受性のある養育者との安全な愛着関係を繰り返し体験することにより、他者に対する安全感・安心感を獲得していくと考えられています。そのため主な養育者との愛着の形成(愛着システムの健全な発達)は、乳幼児期の最も重要な心理・社会的発達課題の一つとされていることを保育者は学んでいます。
 つい先日、和歌山県で小学校5年生が刺殺された事件でも、殺人容疑で逮捕された容疑者の父親が高学歴エリート、地元の名士、ある分野のリーダーであることなど育ちについて様々な報道がなされていますが、もし、この事件も幼い頃の生育歴、アタッチメントの形成に原因であるならば、今一度、我々が普段行っている保育という仕事をふり返り、子どもたちが大人になったとき、悲しい事件に巻き込まれることがないように、きちんとした愛着形成ができているか見つめ直したいと思います。
2015年02月10日(火) No.1486 (園長日記)

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