Diary

初夢と宝物


「一富士二鷹三茄子」これは、言わずと知れた初夢に見ると縁起が良いとされるものです。そして、これには「四扇五煙草六座頭(しおうぎ ごたばこ ろくざとう)という言葉が続くのですが、富士と扇は末広がりで子孫や商売の繁栄、鷹と煙草の煙は上昇するので運気上昇、茄子と座頭は毛がないので「怪我ない」と洒落て家内安全を願うそうです。実はこんな初夢のことを今月の園便り“こひつじ”に書こうと思ったのですが、別なことを書くことにしたため今頃こんな形で書いてます。
 さて、僕が幼稚園や小学生のころ、毎年1月1日だったか2日の夜、祖母が家族全員分、和紙で船(宝船)を折り、そこに墨で「宝」の漢字一文字と「なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな(長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音良きかな)」という歌(回文)を書いてくれたものを枕の下に入れて眠ったものです。25年前に祖母が亡くなってから、こんな粋なことをすることもなくなりましたが、大人になった今(とは言っても言動は子どものままですが)、あの宝船は初夢を見るために良いとされていた伝統文化だったことに気づくことができ、祖母を思い出し感謝するばかりです。そして、その祖母が作ってくれた宝船が、何と今でも一隻だけ残っていて、僕にとって正に「宝船」となっています。もちろん今となっては祖母がどこでこんなことを覚えたのか、聞くことはできず、知る由もありませんが、明治時代の厳格な家庭に育った人でしたので、日本の伝統や文化、常識は幼い頃から両親に教えてもらっていたのでしょう。その一方で、明治生まれにも関わらず祖母は英語ができたので、中学生のころから大の苦手だった英語を「おばあちゃん、これどういう意味?」なんて教えてもらっていたことも僕の大切な宝物です。さて、皆さんの今年の初夢はどんな夢でしたか!?
2015年01月06日(火) No.1458 (園長日記)

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