Diary

ぽんこつ


先週のことです、叔父から「僕(叔父)が若かったころ読んで、車好きのきっかけとなった、阿川弘之の『ぽんこつ』という本を借りて来たから、読んでごらん!難しい内容でないし、Eちゃん(叔母)にも貸してあげたら楽しくて二日で読み終わったというし、返却までもう少し日があるし、すぐ読み終わると思うから、○○に(僕の実家)届けておくから」という電話がありました。そして電話の翌日、僕のところにかなり年代物(初版昭和35年)の本が届きました。その届いた本を見て一番最初に驚いたこと、それは、本の厚さ、次に驚いたことは厚いうえに活字がとても小さいこと、そして、何より驚いたのは、その厚く小さな活字の本をたった二日間程度で読み終えてしまう、叔父と叔母の頭の作りでした。どう考えても、僕には二日で読み終えることなど絶対無理なことは明らかと思ったものの、連絡をくれた叔父の影響で僕も車好きになったと言っても過言ではなく、そんな叔父が奨めてくれる本がどんなものなのか読み始めました。するとどうでしょう、東京でもまだまだ車が少ない時代の話なのに、現代のモーターゼネレーションを予告するかのようなストーリーにも驚かされると同時に、この小説に引き込まれているのです。(要するにまだ読み終わっていません)
 こんな、素敵な文章を書いた阿川弘之という作家には当然驚きと尊敬の念を抱くこととなるのですが、その中で出て来る、本のタイトルである“ぽんこつ”という言葉の語源は「ポンとゲンコツで相手を倒す」ということだそうですが、やがて、鍛冶屋が鉄を叩くときに使うハンマーの音、そして、この本には自動車解体業者が、タガネとハンマーで日がな一日古自動車を叩きこわしている音から来ているらしいと書かれています。ぽんこつになりかけている僕が、一冊の本との出会いから、ぽんこつの意味を勉強することが出来ました。さて、叔父に迷惑を掛けないようにまだまだ残っている部分を早く読み終えなければ・・・。
 話が長くなりましたが、車に限らず、数十年経った物(者)の多くはぽんこつになるものですが、ある一定の時間を過ぎたり、人間国宝などと言われるような人物が作った物には骨董品と呼ばれるものがあります。今朝のNHKニュースで「高級スポーツカーが折れた木の下敷きになりました」と伝えいました。僕はイタリアのF社かL社、あるいはドイツのP社などの車を思い浮かべたのですが、映し出された大破した車の映像を見て絶句してしまいました。なぜなら、その車が映画007シリーズで日本車として初めてボンドカーとなった名車中の名車、T○Y○T○2000GTだったからです。製造数が少ない昭和の名車が一台減ってしまうことになったのでしょう。でも、T○Y○T○2000GTは潰れてしまっても“ぽんこつ”なんて言われることはない、いや、28歳だというオーナーは絶対に言うはずはないでしょう。それどころか悔しくて仕方がないでしょう。オーナーでない僕でさえ「あ〜もったいない、そして、残念」と思ってしまうのですから。
2014年06月09日(月) No.1316 (園長日記)

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