Diary

雪がとけたら


『雪がとけたら何になる?』
東北地方のある小学校で教師が児童に質問をすると、ほとんどの子どもたちが「水になる」と答えたそうですが、一人だけ次のように答えた子どもがいたそうです。
「春になる」
『雪がとけたら春になる』
この季節感あふれる答えは、豊かな感性を感じさせられます。
しかし、この子どもに対して教師は×(バツ)をつけ、不正解にしたといいます。このことは一時期、新聞にも採り上げられたので、ご存知の方も多いかと思います。
 この話を聞いたある幼稚園の先生が、園児たちに同じ質問をすると「春になる」と答えた子どもが大勢いたそうです。さらに、感性あふれるオリジナリティに富んだ答えがいくつもあったと言います。
「雪がとけたら、ぬかるみになる」
「雪がとけたら、さびしくなる」
「雪がとけたら、お父さんの仕事が忙しくなる」
「雪がとけたら、雪合戦ができなくなる」
僕は、この答えは子どもにとって当然であり、驚くことではないと思うのですが、日本の保育(教育)界においては、まだまだ画一的な答えを求められることも多いのかも知れません。
 一方、先週訪れたスウェーデンの保育所(とはいっても日本のそれとは全くといっていいほど別物)や小学校の教育を見て感じたことは、生活(遊び)の中で物事を多角的に見て考える、感性や想像力を駆使し問題解決をする力が培われる教育がなされているということです。
日本の学校では『4+6=□(□の中に適切な答えを書く)』といったテストをします。答えは「10」で、正解は1つしかありません。しかし、実際に世の中に出てみると、この問題のように「答は1つ」という考え方は通用しないこともありますし、時には「正しい答えなど無い」場合すら…。
しかし、外国のテストは次のようなものだそうです。
『□+□=10(□の中を埋めなさい)』
答は何通りあるでしょうか?
1+9
2+8
3+7
150+(−140)
10000+(−9990)
3.5+6.5 etc といった具合に無限の正解が存在します。
このような教育を受けて育つことにより、想像力や問題解決の力が育つのではないでしょうか?
保育制度の改訂が進み、学校教育においては「ゆとり教育」という名の下に、様々な議論がなされていますが、未来を担う子どもたちが画一的な考え方に陥らないように、年度末、そして、新年度を迎えるこの時期、改めて自分たちの行っている保育(教育)を今一度見直さなければならないのかもしれません。
 近年あまり歌われなくなりましたが、日本(東北)の童謡にも感性豊かな“どじょっこ”と曲があります。そんな「豊かな心を育てたい」そうつくづく思わされた帰国後の一週間でした。
2014年03月14日(金) No.1258 (園長日記)

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