Diary

具現化


“具現”という言葉を広辞苑で調べてみると、『具体的に、また、実際に表すこと。実際となって現れること。』とあります。保育現場を例にして簡単に表現するならば、保育者が頭で理解していている保育園の保育方針を子どもたちの活動を通して表現すること。と言えるかと思います。
 その一つが、数日前から玄関を入ってすぐの一階ロビーに並べられていた2歳児H組の子どもたちが作った“切り干し大根”の販売です。自分たちで作った数量限定の“切り干し大根”をお買い求めいただくことが献金につながり、そのことで誰かに笑顔が生まれることにつながることを幼いながらに知っていくのです。恐らく、担任たちも切り干し大根を作る段階では、出来上がった品物を商品として販売することまでは考えていなかったと思うのですが、思いのほか上手くできたため、それを何とか生かすことはできないかと考え、その保育者たちの思いが、正に具現化され目に見えるものとなったのです。
 子育てをする中で、子どもたちを「優しく育てる」ということに反論する方はいないと思います。ところが、こうすると「優しく育つ」というマニュアルや方程式はどこにもないのです。優しい子どもを育てたいのならば、大人が言葉で「優しくしなさい」と言うのではなく、唯一、子ども自身が優しくされるという経験を重ねるということだけなのです。勿論、優しさに限らず人を愛するということは、自分が愛される経験がなければ育つことは難しいことであり、心遣いも思いやりも同じように経験が大切なのです。そして悲しいかな、辛いことや悲しいことばかり経験して育つと豊かな心が育つどころか、何事にも否定的な考えをもったまま育つのです。我が園に限らず、子どもたちが保育所(園)・幼稚園の保育方針など知る由もなく毎日登園していると思います。しかし、どの保育所(園)・幼稚園でも子どもと関わる上でなくてはならないものが、子どもたちの成長を考えた活動の“ねらい”や“目標”となります。その活動(実体験)を通して子どもたちは様々なことを学んでいきます。目に見えない物(思い)を具現化することは難しく時間がかかるものですが、前述の“切り干し大根”の販売という保育の取り組みから、保育者と子どもたちの心が大きく育っていること、また、我が園の保育方針の一端を具現化してくれたことに園長として感謝と誇り、そして喜びを感じます。
2014年01月21日(火) No.1219 (園長日記)

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