Diary

一流の証し


研修三日目、最終日の今日の講師は、つい数日前、聖学院大学の学長に就任なさった姜 尚中(カン サンジュン)先生でした。3年前までは東京大学で教授をなさっていたということは、当たり前のことながら東大生を相手にするということであり、かなりの見識が要求されるということになることは間違いないことでしょう。そんな一流である証しを今日の講演で感じたことがありました。それは、講演中、手元に資料を準備し、その資料に時々目を落として話すというようなことは全くなく、それどころか、そもそも資料など持っていないではありませんか。だからこそ、聞く者の方をしっかりと見て話すことが可能になり、そのために姜先生が話す言葉が心の中にストンと入ってきたのだと思います。姜先生に90分間、聞く人たちの方を見て話すことを可能にさせるのは、90分間の講演内容が全て頭に入っているということにほかなりません。親戚に某大学の学長をした医者がいるのですが、その親戚が先日、二冊の本を送って下さいました。その本の中に学生時代からよく本を読んでいた事が記されているのですが、その本の中に「作家になるのは無理だから、医者になることにした」といったことが書かれているのです。もちろん、そう言いながら、僕には絶対に書くことの出来ない文章を書いているのですが、医者であり学長にまでなった本人が「作家になるには難しいから医者になった」ということの意味が、姜先生を通して理解させられた気がします。
2013年07月31日(水) No.1083 (園長日記)

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