Diary

経験


今朝、保育室に入ると、部屋の隅から「キュイーン。お口を大きく開けてくださーい。」という声がして朝から何事かと思い目を向けるとそこには、椅子でベットが作られ、患者役のS君が横になり、鍋が風呂敷で椅子に結ばれライトとなり、S君の頭上には医者になりきったHちゃんが、白衣代わりにエプロン姿で座り朝の診療をしていました。ここまで書いて皆さんはHちゃん達がどんな事をして遊んでいたかお分かりでしょうか?
歯医者さんごっこです。私は、先週Hちゃんと一緒に歯医者に行った時の真似をしているという事がすぐに分かりました。先日遊びの中で、歯をぶつけてしまうという出来事があり、すぐに歯科を受診し大事には至らなかったのですが、今朝の歯医者さんごっこは、正にその時の一部始終でした。Hちゃんにとって歯医者に行ったという経験は、楽しくもなければ嬉しくもない、反対に怖い経験、そして悲しい気持ちとなっていたはずです。しかしこうして、友達と一緒に歯医者さんごっこをすることで、怖くて悲しい経験を自分で納得させ消化しているのだという事に気付かされました。怪我をしてしまったという事実は消せませんが、この経験を子どもも保育者も無駄にすることなく、保育に繋げていかなくてはと改めて思わされた出来事でした。
さて、5才児クラスの子ども達は毎日順番でタオルを集めたり全クラスの子ども達の出欠確認をしたりする当番をしてくれているのですが、新年度が始まったばかりで落ち着かない様子で人数を書く用紙を取りに来たり、緊張した表情で「しつれいします」と職員室に入ってきたりする子どもの姿が見られています。しかし、その姿は遊んでいるときの表情とは違いとても新鮮で、何より二人ペアで当番をするのですが、お互い声を掛け合いながらする姿が一生懸命でぜひ保護者の方にも見て頂きたいと思う程です。そして今日の当番がK君とT君の男の子ペアで、各クラスの出欠を確認し職員室に用紙を届けてくれました。ここまでならごく普通の姿かと思いますが、今日はここからがちょっと違いました。二人が職員室を出た時に笑顔で顔を見合わせるとT君が「オッケー!大成功!!」と言い嬉しそうに保育室へと戻っていきました。この素直な子どもの表現を見て、自分に任せられた事をやり遂げる事が出来た達成感、そして最後まで出来たという満足感がストレートに伝わり見ているこちらまでが微笑んでしまう出来事でした。T君の姿を見て、人は何かを任せられやり遂げた時の達成感と喜びは子どもも大人も同じなのだという事を実感しました。私もT君の様に堂々と「大成功!!」とは言えなくても、地味に一歩一歩前進出来る様、保育にあたっていきたいと思います。

2012年04月18日(水) No.677 (保育日記)

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