保育日記

もう間もなく！

昨年は震災の影響で中止となり、今年は例年に比べ開花が遅れている白石川の河川敷の桜の花が少しずつほころび始め、いよいよ「さくら祭り」の本番となりそうです。普段渋滞などしない静かな町がこの季節だけは多くの花見客で賑わうのですが、まだまだ人出が少ない感じです。それでも週末に花見に出掛けたｒしく「園長先生この前お花見に行ったよ」と教えてくれる子どもがいました。また、今日お誕生会をした５歳児クラスのＭ君Ｙ君は誕生会後にお花見に行くことも楽しみだったらしく「園長先生、今日はお昼寝しないでお花見に行くんだ！！」と(^o^)ご機嫌でした。ところで、６月１日開園に向けて進んでいる新園舎の園庭にも沢山の桜の木があるのですが、この桜の木も今にも咲きそうなつぼみを沢山付けています。出来ることならば子ども達を連れて花見に行きたいと思うほどですので、今後は毎年保育園で花見に興ずることが出来そうです。
　
さて、以前読んだ本（山﨑武也著：持たない贅沢）に、こんなことが書かれていました。
　本物の美と偽物の醜
日本人は桜が好きだ。特に今を盛りと咲き誇る桜の木の下にいるときには、まさに至福を感じる。桜の花の色には、言葉でいい表せない独特の味わいがある。その桜を鮮やかな青空をバックにして見上げるとき、その美しさには圧倒される。まさに春爛漫を身体と心の隅々までに満喫するときである。
　また、一陣の風が吹いてきて、桜の花びらが乱れ散る中にいるときには、自分が生きていることを如実に感じ取る。花吹雪が生と死との違いを思い知らせてくれるのである。散っていく花は、自らが死に行く様のいさぎよさを、身をもって見せてくれる。惜しげもなく身を捨てているのであるが、自分が犠牲になって人々に喜びを与えているという思いはない。ただ、自然の流れに従っているだけであるといわんばかりに、淡々として散っていく。桜の花は萎れて弱っていくところを見せない。さっさと散っていく。そのさっぱりとした未練のないところが、古来、日本人が理想とする生き方ないしは死に方の見本となっていた理由である。桜の花に限らず、花は萎れたり散ったりするからこそ、咲いているときが輝いている。
　人間の場合も同様だ。人にも死がやってくるからこそ、生きているときが輝かなければならない。精一杯に生きていくことが、人間として生まれてきた使命である。その使命感をなくしたら、せっかく桜が身をもって示してくれている教訓を生かしていないので、桜に対して申し訳ないのではないか。
　花にも萎れたり散ったりしない花がある。造花である。この花には死がないので、生もない。したがって、見ていても何らの感興も催さない。ぼんやりとして心ここにあらずといった状態で見たときは、花と見紛うかもしれない。がだ、すぐに花でないことがわかる。においもしなければ、瑞々さも見られない。近寄ってみたいとも触れてみたいとも思わない。味わいが感じられないので、魅力を欠いている。紛れもない偽物である。本物の花は、その特徴においてはさまざまに異なっているが、すべて控えめながら生命の躍動感を秘めている。
　一流の場所であるといわれるところに行っても、造花が飾ってあると、心底がっかりする。建物の外観は素より内装から置かれている家具調度類に至るまで立派なようすであっても、途端に色あせて見える。偽物が一つでも混じっていたら、ほかのすべての物にも信憑性がなくなるからである。偽物一つのために、たとえほかのものはすべて本物であったとしても、偽物と見なされてしまう。
＊稚拙でも本物を
　本物の花が飾ってあれば文字通り「錦上花を添える」ことになる。ほかのものまで見える結果になる。プラスの効果がもたらされる。
　それに反して、造花を置けば品格を下げるマイナスの効果しかない。それよりも、たとえ殺風景であると思っても、何も飾らないほうが、まだいい。マイナスよりもゼロがいいに決まっているからだ。…と。
　これは保育にも共通することであると思います。しかし、多くの方がそのことを分かっていても、日本の保育界においてはなかなか浸透しないことが多いのが事実であり、それが残念でなりません。

2012年04月16日（月） No.674 (園長日記)

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