Diary

晴れ(ハレ)と褻(ケ)


今日は第64回目の卒園式でした。卒園式が始まる頃から予報通り雨が降り出し、卒園式・謝恩会が終りしばらくすると雨が上がるとは何とも担任のM先生を象徴するかのように感じました…(>_<)。子ども達は多くの御来賓、また保護者に囲まれ、さすがに練習の時とは緊張感が違い、証書を受け取る姿からは小学生の雰囲気さえ感じました。新園舎が完成すると教会をお借りして卒園式を行うことはなくなるため、教会で行う卒園式は今回で最後となりました。今日23名の子ども達に証書を手渡し2308名の卒園児を送り出したこととなりますが、これまで子ども達に関わって下さった多くの方々に感謝すると共に保育園の歩みにまた新たな1ページを刻むことができたことに感謝します。
 ところで、かつての日本人の生活にはハレ(晴れ)とケ(褻)の二つの時期があり、両者ははっきりと区別されていました。民俗学では日常「褻(ケ)」と非日常「晴れ」と分け、非日常であるハレの日は、単調になりがちな生活に変化とケジメをつける日でもあり、この日には人々の衣食住に大きな変化が表れ、特別な日にのみ着用される「晴れ着」を着たり、普段の生活では口にする事のない食物が供せられるなどし、非日常的な世界が設定されました。今でも使われる「晴れ着」「晴れ姿」「晴れ舞台」などの言葉は、いずれもハレの概念に基くものです。
 一方、ケの時空とは、普段の生活そのものを指し、朝起きて食事をして昼間は働いて夜になったら休眠する、という日常の状態の事であり、ケは、普段着を意味する「褻着」(けぎ)や日常食を意味する「褻稲」(けしね)などの民俗語彙から抽出された概念といわれています。
 そんなことから考えると今日の卒園式は子ども達にとって正に晴れの舞台であり、晴れ着を着て非日常を過ごしたこととなります。しかし、M先生が式の中で子ども達(保護者)に向けて涙ながらに語った「贈る言葉」の中で、何気ない日々の日常生活「ケ」の中に子ども達一人ひとりの成長を通して「喜び」や「特別」なこと(ハレ)がある事に気付かせてもらいました。そしてメッセージの内容は子ども達がミルクを飲んだりオムツをしていた頃から関わってくれた担任だからこその言葉であり、その言葉からM先生に継続して担任をしてもらって良かったと改めて思いました。
 最後に、お忙しい中、式に御参加下さったご来賓・保護者の皆様、家庭保育にご協力下さった皆様に感謝致します。そしてハープの演奏で子ども達にピッタリの彩り(BGM)を添えて下さった石○さんには心から感謝します。気が早いのですが来年度の卒園式の際にも是非ともハープで彩りを添えて頂きたい。そう心に思いました。
2012年03月17日(土) No.650 (園長日記)

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